溶接免許取得までの流れ~試験編~

免許の更新

前回は溶接免許取得までの流れ~申し込み編~をご紹介しました。(前回とか言いながら投稿してからすでに半年が経過しているという衝撃的な事実)

溶接免許取得までの流れ~申込み編~

とりあえず萎みかけた脳ミソを一旦叩き起こして、今回は試験当日の事や学科の試験問題などについて書いていこうと思います。前回に引き続き、記事の内容はティグ溶接の基本級「TN-F」に沿って書いていますが、どの種目にも共通する内容もあるかと思いますので、興味のある方は参考にしてみたりしてみなかったりしてください。

試験前の準備

作業者のイラスト

試験に必要な持ち物は当日に絶対忘れる事が無いように、余裕を持って準備しておきましょう。特に受験票は、忘れると受験自体できませんので何度も確認して忘れないように気をつけましょう。もちろん溶接に必要な道具一式も忘れたら実技試験を受ける事が出来ませんが、もし万が一忘れてしまった場合は、同じ種目の試験を受ける人に頼みこんで貸してもらうという裏技を使うしか無いです。ただし借りる相手方の試験に影響を及ぼすようなら潔く諦めましょう。どうしても諦めきれないようであれば、もはや試験官に涙ながらにすがる他ありません。その時はハリウッド俳優顔負けの名演技で乗り切ってください。もしかしたら何とかなるかもしれません笑

実は、ついさっき強盗に遭いまして、溶接道具一式やられちゃったんです!(嘘)

俺……俺悔しいっす!ちっくしょー、ちっくしょー……

でもそんなことが無いように当日の出発前にはもう一度しっかり確認しておきましょう。参考までに下記にTN-F(TIG溶接基本級)で必要な試験当日の持ち物をリストアップしておきました。受験する種目によって必要な物は違いますので、それぞれ受験案内に記載されている持ち物をしっかり確認しておきましょう。

★TN-F試験当日の持ち物★

  • 受験票
  • 筆記用具
  • 溶加棒(申込書に記載したもの)
  • 溶接面
  • 保護メガネ
  • 軍手もしくは革手袋
  • タングステン棒
  • ワイヤブラシ
  • ハンマー
  • ディスクグラインダー(通称サンダー)

服装について

試験当日の服装は作業着がBESTです。なんせ試験と言っても溶接をしますから、頭にはヘルメットか帽子を着用するのも忘れずに。これは僕が試験を受けた時の話しですが、上はネルシャツにブルゾン、下はジーンズに足元は白のお洒落なスニーカー、そして頭にはお洒落なキャップといった、おしゃれカジュアルコーデという猛者もいました。おそらくですが特にこれじゃなきゃダメという規定はなく、安全面に配慮した作業に適している服装であれば何でもいいのではないかと思います。まあ、その彼はめちゃくちゃ浮いてましたけど。それはもうプカプカと。でも試験は受けることができていました。

試験会場に着いたら

試験会場に着いたら、まず受付をしてゼッケンをもらいます。試験会場はアークや半自動、ティグ溶接など、それぞれ違った種目を受験する人達で溢れかえっているかと思います。溶接を生業とする猛者達のギラリとした鋭い視線が、まるで自分をつき刺すかのように向けられ、初めて受験をする人はビビってチビらないように気をつけてください。嘘です。でも僕が初めて受験をした時、ちょっとそんな気分になりました笑

受付を済ませたら、どこか目立つところに各試験のタイムスケジュールが貼り出されているかと思いますので、自分の受験する試験が何時頃から開始されるのか確認しておきましょう。そして試験材をもらい、試験官の指示に従って順番に溶接前に必要な開先加工や仮付けなどの準備をします。

技能試験について

半自動溶接をしている様子

技能試験はまさに溶接技術を問われる試験です。受験する種目によって試験内容が違うので自分の受ける種目の技能試験内容と合格基準を管轄の溶接協会に電話などで事前に確認しておきましょう。試験は一発勝負ですから、当然やり直しはできませんので試験当日までにしっかり練習しておきましょう。ちなみに僕が受けたティグ溶接の基本級TN-Fの技能試験ではSUS304の板厚3㎜の板を突合せ溶接して裏波を出す事が条件です。僕が受けた時はあらかじめ試験材に開先加工が施されていたので、難無く裏波を出す事ができました。使用した溶加棒径はφ1.6を使用し、溶接電流は裏波を出すので少し高めの150A程度で溶接しました。

これは補足情報ですが、僕が試験を受けた時に溶接ビード表面が鼠色に焦げて外観が良くないので、ワイヤブラシで擦って焦げを除去してビード表面を綺麗にしている人が結構いました。しかし擦らずにそのまま提出している人もいたので、これが外観試験に影響があるのかどうかは分かりません。ちなみに僕もいちおう真似して擦っておきました笑

その後、試験官による外観・曲げ試験を経て合否が判定されます。外観検査では溶接ビードは盛りすぎて無いか、アンダーカット・割れの有無などを判定します。曲げ試験では溶接した試験材を切断して、その一部を実際に曲げてみて、溶け込み不良で割れたりしないかを判定します。とにかく外観・溶け込み・適切な肉盛りができるようにしっかりと練習しておきましょう。

学科試験を攻略する

問題を解いている様子

学科の試験問題は全部で20問、正解率60%で合格となります。答えは四択になっており、たとえ答えがわからなくても運に任せて四分の一の確率で正解する事ができるので、わからなくても必ず埋めるようにしましょう。とにかく20問中12問正解する事が出来たら学科はクリアです。

問題数は20問と少なめですが、試験範囲は金属の性質から溶接作業時の安全対策までとかなり幅が広いので、ある程度は勉強しないと余程の強運の持ち主でない限り合格する事は難しいと思います。ですがご安心下さい。溶接に関する事なら業界トップ、溶接専門のさまざまなメディアを展開されている産報出版さんから出版されている下の写真のテキスト(だいぶ古いのでボロいですね笑)を網羅すれば必ず合格出来ます。

それぞれ受験する種目別にテキストが違いますが、中に演習問題がたっぷり収録されていて、言ってしまえばそれをマル暗記すれば100%合格出来ます。余裕のよっちゃんイカです。←古い

溶接試験用のテキスト
これさえ読めば学科は合格間違いなしです!

とにかく、このテキストをよく読んでしっかり演習問題に取り組んでいれば間違いなく合格できるでしょう。もう笑っちゃうくらいスラスラと答える事が出来ると思います。余裕過ぎてうっかり名前とか書き忘れないように気をつけてください。ちなみにこのテキストはだいたい2千円ぐらいで売られています。

でも、そのへんの雑誌に比べると、ちょっとお高いですよね。おそらく、試験の時以外は開く事はないであろうこのテキスト。世知辛い世の中、ちょっとでも節約したい。テキスト代に2千円出すのなら、あのゲームで課金して……いや、違う。でもやっぱり勉強はしときたいところですよね。そういう時はメルカリなどのフリマアプリとかで探してみてください。これがけっこう出品されているんですよ。僕はメルカリで千円程度で購入することができたので半額で済みました。

ちなみに、「俺にはそんなテキストなんか必要ねぇ……男なら一発勝負だぜ!」というちょっぴり強がりさんな人の為に、一体どんな問題が出題されるのか、上の写真の一番右、ステンレス鋼溶接のテキストの中から、ある程度どの種目にも共通していそうな問題をピックアップしておいたので、下のリンクからPDFをダウンロードして腕試しに一度やってみて下さい。雰囲気だけでも掴めるかと思います。

試験についてはこんなところでしょうか。僕自身ちょっとうろ覚えなので至らない点もあるかと思いますが、とにかく持ち物・服装・学科対策、これらを完璧にしておけば大丈夫です。さらに詳しく知りたい場合は日本溶接協会のホームページをご覧ください。あとは当日に風邪などひかないようにくれぐれも気をつけてください。試験を受けていなくても受験費用の返金などは一切ございません。特に今は新型コロナウィルスが蔓延しているので充分に対策した上で試験に臨んでください。

インテリ

合格できることを心よりお祈り申し上げます!

溶接免許取得までの流れ~試験編~” に対して4件のコメントがあります。

  1. 山田太郎 より:

    ステンレス鋼の学科試験を受けるんですが模擬問題をやれば合格できますか??

    1. papypapio より:

      コメントありがとうございます。そして返信が遅くなり申し訳ありません。
      ステンレス鋼溶接のテキストは入手されましたでしょうか?範囲は広いですが、テキストに載っている模擬問題をひと通りやっておけばまず合格できると思います。
      学科試験は四択です。20問中12問正解すれば合格となりますので、とりあえずわからなくてもこれかな?というやつを選びましょう!
      問題によっては、常識的に考えて答えはこれしかないだろ!というサービス問題もありますので、落ち着いて問題を読めば大丈夫です。
      合格できることを祈っていますのでどうか頑張ってください!

  2. どい より:

    TN-Fの場合はステンレス鋼のみで大丈夫ですか?
    初心者未経験です。何もわかりません

    1. papypapio より:

      コメントありがとうございます。
      ブログをなかなか更新できずでコメントにも気付かず申し訳ございません(^^;)
      TN-Fの受験自体はステンレス鋼のみですが、初めて受験される場合は事前に「アーク溶接特別教育」というものを受講しておく必要があります。
      詳しくはこちらの溶接免許取得までの流れ~申込み編~をご覧ください。

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