ICDとの付き合い方

有症候性のブルガダ症候群と診断され、ICD(植込み型除細動器)の手術を受けたその日から「with ICD 生活 」がはじまります。ICDとは、24時間休む事なく心臓をモニタリングをしてくれていて、脈が乱れている時は弱い電気刺激で正常な脈に戻してくれるペースメーカーの役割を果たし、もしも心室細動が起きた時には自動で心臓へ強い電気刺激を与えて除細動をしてくれるとても有難い装置です。今のところ確実な治療法が見つからない限りは死ぬまで一緒というわけです。

命を守ってくれる大切なパートナーとも呼べる ICD ですが、やっぱり”機械”なので色々と気を付けなければならない事があります。今回は with ICD 生活8年目の僕が、実体験をもとにICDとの付き合い方をシェアしたいと思いますので参考にしてみたりしてみなかったりしてください。

とりあえず術後は安静に

僕がICD植え込み手術を受けた時、術後しばらくは安静にして左腕を動かさないようにしなければなりませんでした。今まで当たり前のように両手でしていた事を突然右手だけするのはとても至難の業でした。どうして左腕を動かさないようにしなければならなかったのか、それを説明する前にまずは下の写真をご覧ください。

ICD術後レントゲン写真
血管内を通って心臓へリード線が入っています。

この写真は術後に撮られた僕のリアルレントゲン写真です。別に裸を見られている訳では無いのにちょっと恥ずかしいのは何故でしょうか笑 このように通常のICD植え込み手術は左側の鎖骨のちょっと下あたりの皮膚を切開してポケットを作り、その中にICD本体が入れられます。ちなみに麻酔は局部麻酔です。痛くはないですが、けっこうリアルに切られたことは感じます。しかし場合によってはお腹や背中に植え込む場合もあり、その時は全身麻酔で手術が行われるようです。

写真を見ていただくと、ICD本体からリード線と呼ばれる導線が血管内を通って心臓の中へ入っているのが分かるかと思います。これによって脈を常時監視し、治療が必要な場合は電気刺激を送れるようになるのです。そしてこのリード線は右心室に固定されますが、術後しばらくは固定が不安定なので左腕付近の筋肉を動かさないようにして安静にしていなければならないというわけです。

リード線の固定が確認されたら安静状態は解除されますが、それでもなるべく左腕は今後の生活においても激しく動かしたりしないように気を付けなければいけません。イメージで言うと針金を曲げたり伸ばしたりを繰り返していると折れますよね?あれと同じでリード線も疲労によって切れてしまう場合があるようです。無理に重い物を持ったり、腕を回したりして激しい筋肉の収縮はさせないように気を付けなければならないのです。

ちなみに僕は子供を抱っこしたり仕事で30㎏以上の重い物を担いだりと、普段通りの生活をしていますが今のところ切れたことは一度もありません。まあ普通の生活において左腕を激しく回したりすることもそう無いですからね。気にし過ぎてはいけませんが、少しは意識して普段通り生活していれば大丈夫です。

誤作動にご注意ください

驚いた表情の男性

ICDは精密な機械なので、電磁波や磁気、または強い衝撃などを受けた場合に誤作動を起こす可能性があります。例えば車に乗る時にシートベルトをしますが、ICDの植え込み部分を避けるように装着するか、間にタオルなどのクッション材を挟むようにして、もしもの時にICDに圧力がかからないように注意が必要です。

電磁波については、よく電車やバスの中でペースメーカー装着者などに配慮して、携帯電話のご使用をお控えください的な注意文を見かけるかと思います。アレです。ICDも同じです。しかし携帯電話から発せられる電磁波は、現在ではさほど影響が無いようです。僕も超至近距離でiPhoneをイジイジしてますが全然大丈夫です。

電磁波を発するものはIH調理器具や車のエンジン、万引き防止ゲートや金属探知機などなど、僕たちの身の回りにそれはもう色々とあります。これらすべてに気を付けて生きていくのは大変です。ストレスが溜まってしまいます。

以前、もしも意識がある状態で誤作動が起きてしまったらどんな感じになるんですか?と先生に訊ねてみた事があります。すると、もしも意識がある状態で除細動させる電気ショックが作動したら胸にキックをくらったぐらいの強い衝撃があるとの事でした。アレです、田中~タイキック~ってやつですよ。怖すぎるでしょそれは。

キックを繰り出して受けた相手がふっ飛んでいる様子

これはだいぶ前の話しになりますが、ICDの植え込み手術から1年ほど経ったある日、何故か仕事中に突然気分が悪くなったことがありました。しかもやたらと心臓がドキドキするので(これって誤作動かも??)という考えがその時僕の頭をチラリとよぎりました。

するとだんだんと体に力が入らなくなり、口元はガチガチ震え出すわ、手指が萎縮して動かせなくなるわで、大慌てで会社の人に救急車を呼んでもらった事があります。チアノーゼ状態ってやつでしょうか?とにかく体全体が萎縮して立てなくなりました。

ひ、ひぃぃぃぃぃーーー‼だ、誰かお助けぇー!

しかし結果は誤作動でも何でも無く、単なる疲れとストレスが原因だろうとの事でした。病院のベッドでしばらく安静にしていたら嘘みたいにすぐに良くなりました笑 自分ではそれほど気にしているつもりは無かったのですが、普段から深層心理で誤作動が起きるのではないかという恐怖に怯えていたようです。なので気にし過ぎても駄目なんです。先ほども言ったように、携帯電話の電波はさほど影響が無いですし、IH調理器具なども体をよほど近づけない限り影響はありません。例えば炊飯器を抱きかかえるとかね笑

割と大丈夫かも。

これは僕個人の体験談なので完全にスルーしていただいてもまったく問題ないですが、気休めぐらいにはなるかと思いますので、予備知識程度に軽い感じで聞いていただければと思います。

先ほどから何度も言うように、ICDが誤作動を起こす原因の中で一番気をつけなければならないのが、強い磁気や電磁波などの影響です。以下に電磁波の影響が強いものをいくつか掲載しておくので参考にしてみてください。

特に影響が強いもの

◆家庭◆車や生活その他
マッサージチェア車のエンジン
電位布団電気自動車の急速充電器
体脂肪計全自動麻雀卓
◆工業機器・施設◆医療機器
電磁石MRI
各種溶接機放射線治療器
発電・変電施設内高/低周波治療器

この中で強い電磁波を放つ工業機器に“溶接機“があります。僕が病院でもらったリストにもしっかりと記載されていました。あまり大きな声で言えませんが実は僕、毎日その溶接機を使って仕事をしているんです。それこそ朝から晩まで。溶接しっぱなしです。でも今のところ誤作動ゼロなんです。最初は誤作動が怖くて近付くことすらしませんでしたが、何でしょう……こう、職人としての血が騒ぐというか、気がついたらいつも通り仕事してましたね笑

でも強力な磁石に近づき過ぎた時に「プープープー」と警告音みたいなものが体内から聞こえてきてビビった事は何度かあります笑 自分の体内から機械音が聞こえるというのは不思議な感覚ですよ笑 でも誤作動は起きていません。

というわけで今のところICDを装着してから8年くらい経ちますが誤作動は一度も起きていません。現在のICDは性能も上がっているので、よほどのことがない限り誤作動は起きないのではないでしょうか。しかしこれはあくまでも僕個人の意見です。ただ僕が運が良いだけかも知れません。人生何があるか分からないので、とりあえず電磁波や磁気を放つものには近付きすぎないように気をつけて下さい。

ICDの交換時期はいつ?

バッテリーのイラスト

ICDは機械です。当然のごとく動かすためには電気が必要ですので電池が内蔵されています。僕が手術を受けた時点では電池の寿命は平均5~7年ぐらいと説明を受けましたが、あれからもう8年という年月が経ちました。そして先日検診に行った時に、まだあと5年ぐらいは大丈夫だろうと言われたので、合計すると余裕で10年以上はもつという事でしょうか。ちなみに僕は術後1回だけ作動していますが、それでもまだ余力十分といったところです。しかし作動した回数などで大きく変わってくると思うので、こればかりは個人差があるでしょう。

いずれにせよICDの電池残量が少なくなってきたら必ず交換時期がきます。僕はまだ交換したことが無いですが、その時は電池を交換するのではなく、本体をまるごと交換するという形になるらしいです。リード線は断線や損傷が無いかぎりはそのままで、初めてICDを植え込んだ時と同じように鎖骨の下の皮膚を切開してポケットから古くなったICDをリード線から取り外し、新しい本体を付け替えるといった流れらしいです。いちおう最近のスマホのようにワイヤレスで充電できるような開発も進められているようですが実装されるのはまだまだ先でしょうか。

ICD手帳・植込み型除細動器カードは常に携帯しておこう

ICD手帳と植込み型除細動器カード

ICD植え込み手術を受けたら写真のようなICD手帳植込み型除細動器カードというものをもらいます。ICDを植え込んだ病院以外の病院で診察を受けるようなことがあったり、空港などで金属探知機を通過しなければならない時や、その他必要な時にICD装着者である事を相手に伝えるのに役立ちますので、これらは常に携帯しておくようにしましょう。ICD手帳にはこの手帳の持ち主がICD装着者である事が9か国語で書かれていますので海外へ行かれる際は必ず持っていきましょう。

以上、ICDとの付き合い方と題して色々とご紹介させていただきました。ICDは機械ですが、もはや生きていく上で命を守ってくれる大切な体の一部だと思います。僕も大切に上手に付き合っていかなければならないと思っています。でも気にし過ぎていてもストレスが溜まってしまうので、リストに上がっているような特に注意が必要なものだけには十分に気を付けながら、普段通り生活することを心がけましょう。

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